ギャラリー日記

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12月31日

石垣島も案の定雨男の私が行ったことで一昨日は1日雨、昨日も午前中は大雨だったが、午後にはようやく晴れ間も見えて、 娘と孫は目の前のプライベートビーチでシュノーケリング。
魚がたくさんいるのだが、孫は怖がって先に行こうとしない。
昨日はグラづボートでウミガメや色とりどりの魚を見たので、喜んで魚を見ると思ったがプールと違って海は浅くてもまだ怖いようだ。

泊まっているクラブメッドの施設内には子供が喜ぶプランがいくつもあり、宝探しをしたり、ビンゴゲーム、ダンス、Tシャツを染めたり、 ピザを作ったりと盛りだくさん。
大人も卓球やスカッシュ、ダーツ、ビリヤード、ヨガなどがあって、海に行かなくても十分に楽しめる。
雨が上がればウィンドサーフィン、カヌー、ダイビング、ビーチバレー、バスケット、テニス、アーチェリーなど多種のスポーツが楽しめるのだが、 今日はまた台風並みの強風と寒さ。

娘夫婦は朝早くから西表島にカヌーでのジャングル巡りに出かけたが、強風の中大丈夫だろうか。
孫たちは一日中面倒を見てくれるキッズクラブに預けたが、老夫婦はやることがなく、料理教室があるというので行くことに。




12月30日 今年も終わり。

今年も残り僅かとなりました。
ギャラリー椿は12月29日より1月8日までお休みをいただきます。

今年一年皆様に支えられ、つつがなく過ごすことができましたこと、厚くお礼申し上げます。
新しいお客様や新たな作家との出会いもあり、実り多い一年でもありました。

価値観が多様化し、従来の評価が大きく変わってきた昨今でありますが、ギャラリー椿は足元を見つめ、作家とともに一歩一歩前に進み、 ギャラリー椿らしい作品を皆様に紹介して参りたいと願っております。

どうぞ皆様にとりましても、来年が希望に溢れる素晴らしい年になるよう祈念いたし、本年のご挨拶とさせていただきます。

尚、1月11日より1月25日まで堀込幸枝個展、ジャン・ポール・ブレ/西村陽平二人展で幕開けとなります。
皆様のお越しを待ちいたしております。


12月27日 石垣島

今日は木枯らしが吹いていて、今年一番の寒さを感じる。

画廊は明日までだが、私は一足早く娘家族と一緒に石垣島で年末年始を過ごすことにしている。
暖かな石垣島でシュノーケルやカヌートリップと思っていたが、向こうの天気を見てみると、行っている間に晴れ間が見えるのは1日だけで、29、30、31、と雨模様。
気温も22度前後と寒くはないが暑くもなく、海で遊ぶには今ひとつのようだ。
以前に同じ正月に石垣島に行ったが、この時も寒くて、長袖のシャツを買ったことを思い出した。

ここはクラブメッドという食事も遊びも全てインクルードされたとこで、キッズクラブというのもあって、 孫たちはそこで一日中スタッフに遊んでもらえるので、親や私たちは子供とは別の計画を立てているのだが、どうやら思い通りには行かないようだ。

まあゆっくりと南国の海を眺めながら、本でも読むことにする。

改めて向こうから年末年始のご挨拶はさせていただくが、まずは今年も大変お世話になりました。皆様どうぞ良い年をお迎えください。


12月26日 年の瀬も迫り

年の瀬も迫り、画廊は29日から1月8日までお休みをさせていただく。
綿引個展は28日(土)ギリギリまで開催をしているので、まだの方は是非お越しいただきたい。

来年も1月11日より西村陽平・Jean Paul blaisの二人展と堀込幸枝個展が予定されている。

海外の展覧会も2月22日より3月8日まで中村萌の10年を回顧する大きな展覧会が100年前に建てられた日本統治時代の酒造工場を舞台に開かれることになっていて、 台湾のお客様から約40点の木彫作品をお借りして展示し、それに加えて新たなフィギュア、画集、アートグッズなどが販売される。

同じ台湾では台南のダーフォンギャラリーで2月7日から3月2日まで松川栞のスコープ展が開催される。

4月には上海対外文化交流協会、中国女子書画会の招待による「21世紀日中現代画家展」が開かれ、上海を皮切りに青島、大連、北京、重慶、広州、杭州の7都市の会場を回ることになっている。
これには日本側から私どもで発表をしている30名のアーティストが招待され、各作家の大作が2点づつ展示されることになっている。

会期は4月18日から7月16日までで、各都市に30名のアーティストが順に招待され、飛行機代、ホテル代がサービスされることになっている。
さらにレジデンスプログラムとして、3名を選び上海にてアトリエと住居、生活費が提供され、半年間そこで制作をしてもらうことが検討されている。

ということで、どうやら来年も忙しい一年になることは間違いない。

中村萌の会場を写真で紹介させていただく。


12月25日 クリスマス

今日はクリスマス。
多くの人からクリスマスメールをいただいた。
素敵な動画や画像もいくつもあり、どれもが心のこもったジーンとくるもので、どうやらカードよりこちらが主流になりつつあるようだ。

昨夜のイブは孫たちとホームパーティー。
以前は朝から私の手料理を振る舞ったものだが、寄る年波もあって、レストランでの家族の集まりが多くなっていたが、久しぶりに我が家でパーティーを開くことになった。

家内の提案でなんとクリスマスなのに手巻き寿司とお煮しめ(鬼嫁ではありません)、味噌汁という純和風の料理でやることに。
お寿司には家内の母直伝の京風稲荷も加わった。

孫たちにもサンタのプレゼントとは別にそれぞれにゲームのプレゼントを贈り、食後はゲームで大盛り上がり。
ホームパーティーは周りに気兼ねすることなく、孫たちも飛んだり跳ねたりの大騒ぎができるので、ここしばらくはこれでいくことにする。
ただ私の手料理が出るかどうかはわからないが。

以前の私の手料理の写真も紹介し、ちょっと自慢。
全て私が料理したもので、テーブルに乗りきらない。


12月19日 山本麻友香個展

釜山のギャラリーWOOが画廊を移転し、そのオープン記念展で山本麻友香個展が昨日から開催されている。
こちらにも購入可能かの問い合わせが多数来ていて、直接ギャラリーWOOに問い合わせていただきたいと伝えたが、既に全作品売れてしまっているようでありがたいことである。

韓国では以前から山本麻友香の作品は紹介をしていて、多くの山本ファンがいるのだが、 ここにきて台湾を始め海外から多くの問い合わせが殺到し、今回も台湾のコレクターが20人ほどが個展会場を訪れるそうである。

ギャラリーWOOhは今までは釜山の海雲台という美しい海岸を前にしたリゾートホテルの中にあったのだが、ここのホテルが閉じることになり、 新たに今度は釜山の山の中にあるリゾートエリアのゴルフ場の中に画廊をオープンした。

今度の画廊も自然に囲まれた素敵な場所にあり、私は残念ながら他の用事があって行くことができなかったが、山本夫妻が招待されてオープニングに出席した。

私は改めて年が明けたらお祝いを兼ねて行ってこようと思っている。



12月18日 印象記

既に終わってしまったが、紋谷幹男氏の伊津野雄二展の印象記が送られてきたので、紹介させていただく。
いつもながらだが、紋谷氏の展評は私では気づかない作品の奥深いところまで掘り下げてその印象を述べ、 更には適確に作者の制作意図を捉え、紋谷氏の作品に対する熱い想いが伝わってきます。

作品に対する文章の巧みな表現力にはいつも感心させられるばかりですが、こうした論評を毎回のようにいただけることは大変ありがたく深く感謝をしている。

伊津野 雄二の木彫作品には、
人物の肉体の、造形的再現ではなく、
人物の肉体が言葉となる詩のようで、
鑑賞と理解が同時に脳内で起こるような
不思議な刺激と心地良さがあります。

立体作品は、文字通り3次元なので、
様々な視点からの鑑賞が前提になりますが、
直観的に、これらの作品には、
正面がより強く意識される、
絵画的要素が感じられました。

深く大きな息吹が作品に満ちています。

旋律のように、丁寧に選ばれた形と色は
光を受け、自身も光になる。
そんな印象でした。



12月14日 綿引明浩個展

今日から綿引展が始まった。

ピッコロ版画という小版画から、それを50点組み合わせて一つの作品にしたり、ピッコロ版画をアニメに変えてみたり、 綿引独自の技法でクリアグラフという透明アクリルに裏から描いた作品を2枚に重ねて立体的に見せたり、アクリルを切り抜いて立体作品にしてみたりと多様な表現の作品で会場は満艦飾。

モチーフが溢れるように出てくる天才綿引の魅力が存分に発揮されている。
色彩も華やかで、クリスマスにふさわしい華やいだ展示となっている。




12月7日 北武記念絵画館

札幌にある北武記念絵画館が長年私どもで発表を続ける河原朝生の大作を中心に27点の作品を収蔵することになった。
この絵画館はIT、医療、福祉、食品、土木、文化、管理など7つの事業を展開する北武グループの小西政秀会長が収集した具象洋画と 浮世絵を始めとした木版画のコレクションが中核をなしていて、現在は財団として地域の文化啓蒙に貢献をしている。
美術市場が若手や海外の評価に流れる中、日本においての長いキャリアの中で地道に制作をしている作家にスポットライトを当てていただいたことはとても嬉しいことである。
2年前にも香港の美術館が河原の個展の作品の多くをコレクションしていただいたことがあり、他にも寺田コレクションとしてオペラシティギャラリーにも多くの河原作品が入っていて、 内外で河原の作品を見る機会が増えたことは何よりのことである。



12月6日 職場訪問

ロータリークラブの職場訪問で前回のNTT東日本の通信システムの見学に続いて、今回はJRの東京総合司令室を見学することになった。
首都圏を中心とした24線区約 1300km、一日の運転本数8000本、利用客数1400万人の運行管理をここで行っている。
ここは関係者以外は全く立ち入ることのできないところだが、クラブ会員の案内もあって、NTTの時もそうだったが特別の許可いただいて見学を許された。
司令室は輸送指令、運用司令、営業運輸司令、設備関係司令の4つのセクションに分かれており、24時間体制で150名(総数500名)が同じフロアで運行管理を行っている。
中に入ると、それぞれのセクションでモニターを見ながら、入り組んだ細かいグラフを書いている。
大きなモニターには全路線の車両が動く画面が出てきて、こまねずみのように車両が動くさまが映し出される。
ここの管理システムが車両、駅、乗務員、保安職員と連携し、首都圏の安全、安定輸送を守っている。

ここの見学を終え、次に向かったのは東京駅。
駅長室の案内され、立派な室内の壁には歴代の駅長の写真とともに、初代総裁の後藤新平の書や横山大観から寄贈された富士山の大作が飾られている。
続いて松竹梅と三室ある貴賓室に案内された。
梅の間には東山魁夷の雪景色や安井曾太郎の丸の内風景、有島生馬の絵画などが飾られていた。 天皇皇后陛下が休まれる松の間には玉座が置かれ、その正面の壁にも横山大観が陛下のためにと寄贈した桜と富士の名品が飾られている。
皇居から一直線で行幸通りを通ってこの部屋で休まれ、下に続くホームに向かうとのこと。

今日一日滅多に見ることのない場所に案内され、貴重な経験をさせてもらった。

12月5日 山本麻友香展

12月19日から韓国釜山のギャラリーWOOの画廊移転記念の展覧会「山本麻友香展」が始まる。
出品作品の一部を紹介させていただく。
多くの購入希望の問い合わせが私どもにきているが、作品購入についてはギャラリーWOOに直接問い合わせていただきたい。
ギャラリーWOOは南仏の海岸を彷彿とさせる釜山海雲台のビーチを目の前にしたホテルの中にあったが、そのホテルが閉めることになり、 新たに移転し、釜山の山の上にあるゴルフ場を併設するリゾートの中に画廊を開くことになった。
オープニングに招待されているが、今回はスケジュールが重なり行くことができないが、山本夫妻は行くことになっている。

ギャラリー椿でも来年5月に「山本麻友香新作展」を予定している。
ご期待をいただきたい。




12月3日 早いもので

早いものでもう12月、もうちょっとでお正月なのだ。
12月と云うと先生も走り出すわけで、私のところも何かと気ぜわしい。

伊津野展が終わると、綿引明浩展が始まる。
いつものようにクリスマスの時期にふさわしいカラフルでウキウキするような作品が並ぶ。
楽しみにしていただきたい。

海外もこの一年忙しく、スタッフも休む間もない日が続いた。
そんな中で、12月1日の台湾のオークションに中村萌のオリジナル作品4点と新作を除くフィギュアの作品が一まとめで出品され、その落札結果が届いた。
全て売価の10倍、20倍の価格で落札され、一番高いのは手数料を入れると1000万円を超える価格で驚くより怖くなってきた。

また、フェースブックでは投稿グループ(KAWS,草間弥生、奈良美智、村上隆、中村萌、バンクシー)というのまで出来ていて、 大御所の中に彼女が入っているのが何ともこそばゆい感じがしてならない。

人気が出るのは大変ありがたいことだが、市場が過熱しすぎて、この先どうなるのか心配である。

私も作家もこうした状況に惑わされず、足元を見つめながらじっくり進むことが大切で、手綱を締めて次のステップに向かわなくては行けない。

11月30日 クラス会

今日は大学のクラス会。

10数人の元気な連中が集まった。
とはいえ、何人かは病魔を乗り越えたりで、今回来れない中には亡くなったのも多いが、闘病中のクラスメートも何人かいる。
先日も高校のヨット部の同期がなくったり、ゴルフで親しくしていた友人も亡くなったとの知らせを受けた。

この年になれば、そういうことがあっても不思議ではないが、私のように大した病気もせずにここまで来たことは何よりでクラスメートの中にも同じように 病気一つしたことのないのもいる。

ただ大病をした友人が言うには、60代までに病気しても体力があり、手術に耐えられたり、回復する力もあるが、70になって大病すると、 体力がなくなることもあって、死に至ることが多いと怖いことをいう。

ここまで元気でいられたので、それほど生きることに未練はないが、画廊のことや扱う作家さん達、 そして家族や友人のことを思うとやはり元気でいなくてはいけないと思う。

来年のクラス会も全員健康で元気な顔が揃うことを願うばかりである。

11月26日 木下雅雄

新たに私どもで扱わせていただく木下雅雄を紹介させていただく。

木下は東京造形大学で彫刻を専攻し、村上隆が主宰する「GEISAI」に出品しグランプリを受賞する。
このときの審査員の一人であったおもちゃ美術館館長で北原コレクションで知られる北原照久氏の目に止まり、そのコレクションに木下作品が加わることとなった。
当時は人体の筋肉を造形的に表現した人体像を制作していて、木下作品とは知らずに画廊の近くにあるエドグランでその作品を見たことがあり、 インパクトの強い作品に目を奪われたものである。
このエドグランでは常時北原コレクションが展示されていて、その時に偶々見たのが木下作品であった。

次に彼の作品を見たのは文化村ギャラリーで開催された驚異!「セラミック・スカルプチャー〜奇々怪々な異形たち」であった。
ここには私どもで発表をする木村繁之、塩澤宏信が参加していて、その中にそれこそ異形の作品が目に止まった。
中世の騎士かSFに出てくる戦士のようないでたちで、頭は猫やうさぎのような頭をした奇妙な作品なのだが、他の作品を圧倒するような存在感があり、 担当のY氏にこの作品に惹かれた旨を伝えた。

そこから木下本人に話が伝わったのだろう。
画廊に資料を持って訪ねてきたのである。

資料を見て驚いた。
北原コレクションで見た筋肉人体像があるではないか。
聞いてみると、以前はそうした作風だったが今は文化村で見たような作風になっているとのこと。
私も今の作品のほうに惹かれる。

ということで縁ができ、木下作品を扱わせていただくことになった。
作品のいくつかを紹介させていただく。




11月21日 伊津野雄二展

明日から伊津野展が始まる。

伊津野の特徴である端正で気高い木彫とテラコッタの立体作品が並ぶ。

今回は木彫に新たな色彩表現が加わり、木彫の柔らかさと金属とも思える硬質な表現がされていて、新たな一面を見せてくれている。

そうした新しい面を見せながら、静謐で清楚な女性像は相変わらず見るものを引き込む魅力がある。

明後日からの連休が間に入るが、12月7日まで開催をしているので是非のご高覧をお願いする。




11月18日 TAMAVIVANT

多摩美術大学八王子キャンパス内のアートテークギャラリーにて、私どもで発表を続ける井澤由花子が参加していることもあり、見に行ってきた。

この展覧会は多摩美術大学美術学部芸術学科構想計画設計ゼミのカリキュラムの一環として、学生中心となって企画構成運営する現代美術・芸術のアニュアル展である。 多くの作品と出会い、出会った作品群の中より「現在」を感じる作家を選び、作品の選択を作家と共にしてきた展覧である。

広大なギャラリーで見る井澤作品は、私どものギャラリーで見る以上にインパクトがあり、水彩とは思えない色彩の輝きを見せていた。

水彩画という表現が油絵に負けない多様性があることを学生たちに知ってもらいたい。



11月15日 競馬観戦

明日は府中競馬場で競馬観戦。

ロータリークラブの親睦行事で仲間たちと競馬を観戦することになった。
以前にも何度かロータリーで行ったことがあり、一度は100円券で6万円の配当がついたこともあったが、今回も一攫千金を夢見て、ちびちびと馬券を買うことにする。
特別来賓室からの観戦になるが、ここではドレスコードなるものがあって。ネクタイスーツ着用となっていて、ジャンパーに赤鉛筆を耳に挟んでというわけにはいかなさそうだ。

結果は乞うご期待。


11月15日 高崎市美術館

高崎市美術館に行ってきた。

私どもで発表を重ねる木村繁之をはじめ木に関わる木版、木彫の作家4人による展覧会「詩をかたどる、詩を刻む」が開催されていて、詩情溢れる作品が並んでいる。
木村の作品は2室に分かれていて一室で木版作品、もう一室でテラコッタ、木彫の作品が展示されている。
改めてこれだけの作品が並ぶと、儚げで消え入るような作品が輝きを見せて、木村の力量を窺い知ることができる。
画廊で見るのとは違い圧巻である。
2室に続く廊下には数多くの装丁本が並び、これも長年の木村の業績の一つである。
タイトル通りの詩をかたどり、詩を刻む世界がそこには広がっていた。
心に残る展示であった。

山中現も木版画にとどまらず、木のオブジェ、ガラス絵、油彩と多様な世界を見せてくれる。
彼も私のところで2回ほど個展をしているので、私にとっては身近な作家の一人である。

深井隆の作品は美術館に併設する井上邸の庭と邸宅の部屋の中に展示されている。
古い和風の木造の家に深井の木彫が妙にマッチしていて、興味深く見せてもらった。

丸尾もうちで一回個展をしたことがあり、その時に見た甘い作品とは違う大作の力強い作品に私は惹かれた。

地味な展覧会だが、一見の価値ある展覧会であった。







11月12日 事業承継

9日の朝刊一面に事業承継の個人保証を免除と大きな見出しで出ていた。
偶々先週金曜日に開催された全国美術商連合会の理事会においても美術業者の事業継承について木村監事から事業承継税制の概要の説明がなされたところなので、 改めて事業承継について詳しく調べてみることにした。

私も73歳を過ぎて後期高齢者の仲間入りも間近となり、画廊をどのように継承していくか頭を悩ませているところであった。
今のところ借金もなく、画廊を清算してしまえば簡単なのだが、多くの作家とスタッフを抱える身としてはそうもいかない。
子供達はそれぞれ私よりは恵まれた仕事についていて、画廊を継いでくれる気配は全くない。
となるといずれはスタッフもしくは第三者に画廊を継承してもらうことになる。

そのためには新たな経営者が自社株を贈与や相続によって取得することになり、税金の問題が発生すると思っていたのだが、 平成30年度税制改正において、中小企業や私のところのような零細の会社の事業承継を一層後押しするために大きな改正がなされたのである。

2027年までの特例措置として、2024年3月31日年までに都道府県庁に「特例承継計画」を提出、2027年12月31日までに自社株を取得した場合にかかる相続税、 贈与税を100%納税猶予する「法人版事業承継税制」が創設された。
個人事業でも同様に2028年までに事業資産を取得したときに免税の適用を受けることができる。

更に新聞に出ていたように、事業を引き継いだ経営者が条件付きで借金の返済義務を負わないようにする制度が導入された。
今までは金融機関が引き継いだ経営者に借金の個人保証を強いることが多かったが、改正により信用保証協会が債務を保証することになった。

相続税、贈与税を免除、借金の個人保証をなくすことで、経営継続の推進が図れることになった。
私も偶々、別の企業の経営の継承にも関わっているだけに、こうした制度ができたことは何よりのことである。

11月11日 TAMA VIVANT 2019

先に紹介した井澤由花子がTAMA VIVANT 2019 「ART ・漂う場所として」に出品者の一人として選ばれ、展示されることになった。

この展覧会は多摩美術大学芸術学部芸術学科構想画設計ゼミのカリキュラムの一環として、学生が中心となって企画構成運営する現代美術・芸術のアニュアル展である。

まずは展示風景を紹介させていただく。


11月10日 紋谷氏の展覧会印象記

夏目麻麦個展

展覧会タイトルは、「ーscape」。
※花茎(かけい):植物において花のみをつける茎のこと。

座る女性らしき像が描かれています。
写真のようにうわべを写し撮っているのではありません。
座る女性をどう描くかというより、
座る女性の「何」を描き出すのかが
画家のテーマのようです。

それは何なのか。
見る側には何が見えてくるのか。
あるいは、画面に生じた何に気付くのか。

女性に見えるものは
絵具が塗られた平面であるという境界線まで
引き離そうとしているようです。
そこで初めて、他の何かの比喩ではない、
感情的な状況そのものが、見ているものになる。
そんな印象でした。


11月9日 紋谷氏の展覧会印象記

河内良介個展

展覧会タイトルは、ー静寂の異空間ー。

極めて緻密に描かれた鉛筆画。
ヒトが持ち得たこの能力に感嘆させられます。

描かれたのはヒトや動物のいる不思議な場面です。
特定されない、とにかく広い場所に、
レトロな雰囲気の、
乗り物や機械、時計、家具などが置かれ、
その小さな場がこの画面にとっての全世界です。

見る側にとっては意味不明の風景ですが、
これが毎日繰り返されている当たり前の出来事だと、
妙に納得させられます。

見る側の日常とシンクロするような、
そのかすかな親和性は、
絵に何が描かれているのかを読み取る責任から、
鑑賞者を開放し
その場面にすっと入り込むことができる。
v そんな印象でした。


11月5日 井澤由花子の大作

資生堂本店がリニューアルオープンして4階のレストランにわたしどもで発表を続ける井澤由花子の大作が飾られお披露目された。
レセプションには私どもの他、井澤作品をコレクションされているK氏や井澤を支援しているパトロンプロジェクトの代表菊池麻衣子氏などが招待された。
わたしが所用があって行けず、スタッフが代わりに行ってくれたが、レストランの空間に初めて描いたパノラマサイズの作品がレストランの優雅な雰囲気を より高めているとのことであった。
化粧室にも多くの井澤のお洒落な昭和モダンを模した作品が展示されている。

《銀座本店・WORD を彩るアート作品について》
人間と自然との関係性に改めてまなざしを向けることは、気候変動 による地球の未来が危ぶまれるなか、グローバルに強い関心が高ま っている昨今。特にアートの表現においても、 人間と自然との関わ りや自然に対する人間の感性を表明する作品が多く見受けられる ようになっています。 リニューアルに伴い、そこに着目し資生堂の 社名の由来である「万物資生」という考えと親和性のある“人間と自然との共生” を表現したアート作品で室内空間をプロデュースしました。「自然への敬意」や「自然への共感」、 「自然からのイン スピレーション」といった自然とともにある人間の感性を表現する スペースとして展開。セレクションしたアート作品は、 資生堂ギャラリーの活動とも所縁のあるアーティストやこれまでの資生堂の アートコレクションからキュレーションしています。




11月3日 ラグビーワールドカップ決勝戦

ラグビーワールドカップ決勝戦南アフリカ対イングランド戦観に行ってきた。
南アフリカ勝った。
勝ち負けはともかく、7万人を超える観衆が一体となって両チームを応援。
おそらく死ぬまでに二度と見られない試合を瞼に焼き付けてきた。
日本中がラグビーに酔い沸きに沸いた。
感動ありがとう。


11月2日 ロンドン・ローマ

ロンドン.ローマに画廊を構えるDorothy Circus Galleryから中村萌、山本麻友香の個展の誘いのメールが届いた。
日本人作家では高松和樹など萌系といった作家を扱う画廊で、来春に中村萌を交えたグループ展が企画されている。

ロンドン、アムステルダムなどで山本麻友香の個展は以前に開かれたが、その画廊とはうまく噛み合わず、 アムステルダムの画廊などは詐欺師といっていい仕打ちを受けて、弁護士を通して交渉をしているが一向に拉致があかない。

そんなこともあって、よく考えてお付き合いをしなくてはいけないが、高松和樹を扱う日本の画廊の話では誠実に対応してくれる画廊のようである。

もっとも、個展は2023年11月ということらしく、その間にお互いに信頼関係を築いた上で、話をを進めていきたいと思っている。

アジアでは二人とも実績を積み、私も長きにわたるアジアでの経験から、今の二人の人気に繋がっているので、欧米でもその経験を活かして、 更なる活躍の場を広げてあげたいと思っている。

11月1日 夏目麻麦

早いものでもう11月、ということは今年もあと2ヶ月ということで、いつも言っているが、年寄りには1年は早いが1日は長い。

ただいま展示中。
夏目麻麦個展が明日より始まる。

今回は大作はなく、50号以下16点の展示となる。
若干以前の作風に戻ったようで、重厚で滲み入るような深いマティエールの美しさがより際立つ。
じっくりと作品と対峙すると、曖昧だった輪郭がくっきりと浮かび上がり、その存在を確かなものにさせてくれる。
油絵具が持つ特性を遺憾なく発揮する夏目の作品を是非ご覧いただきたい。




10月27日 ラグビーW杯

昨日はラグビーワールドカップの準決勝南アフリカとウェールズの試合を観に横浜スタジアムに行ってきました。
8万人近くを収容できる巨大なスタジアムがぎっしりと人で埋まり、混むといけないので早めに会場入りしましたが、すでに大盛り上がり。

ついこの前までのラグビーの試合の閑散とした風景は何だったのかとあまりの違いに驚いた。

試合前からみんなで一緒に歌ったり、スクリーンに映る画面上の太鼓に合わせて聴衆が太鼓を叩くといった趣向もあり、 会場全体が一体となってラグビーを楽しもうという雰囲気がとても良くて、 野球やサッカーのように試合中に鐘や太鼓で応援するとは違った楽しみ方に私もつい乗せられてしまった。

試合は接戦で、最後の南アフリカが勝利し決勝戦に進むことになったが、両軍に送る拍手に選手も観衆もノーサイドという 敵も味方も試合が終わればその健闘を称え合うというラグビー精神が行き渡り、胸が熱くなった。

土曜日の決勝戦も息子と観に行く予定だが、息子はすでに予選を含めて6試合観に行っていて、 日本ではおそらく一生に一度しかないであろうラグビーワールドカップを堪能している。



10月22日 海外展

今朝はまた台風の影響で強い雨。
先日の台風の被災地はまた大変な思いをしているだろう。

そんな中、台北のアートフェアに出かけていたスタッフが戻ってくる。
トイフェアから台北アートフェアまでの2週間台北にいたことになる。

二つのフェアでは大勢のお客様の対応におわれ、夜は夜で毎晩のように遅くまで招待の食事が続き、さぞかし疲れたことだろう。
ゆっくり休んでもらいたい。
と言いつつ来週からは画廊では二つの展覧会が始まり、休んでられないか。

そんなわけでとにかく忙しかったが、ソウルから上海、台北と続いた海外展は大きな反響を呼び、 フェアの売り上げでも大きな成果を上げることが出来、私には快い疲れとなった。

これで海外は一段落と思ったが、12月に釜山での山本麻友香の個展、来年2月に台北で中村萌の個展、3月にはロンドンで中村萌が参加するグループ展、 4月からは上海、南京、成都、青島と廻る私どもの作家30人による大規模な展覧会と海外の企画が目白押しで、それに加えて画廊での個展が続き、 準備を含めゆっくりする暇がなく、スタッフにとっては何とブラックなところに勤めているのだろと思っているかもしれない。

そんなこともあり、画廊は正月休みを12月29日から1月8日までとし、その間ゆっくり休んでもらおうと思っている。

お疲れ様でした。

10月22日 即位の礼

即位の礼をテレビで観せてもらった。
2000年の長きにわたる歴史と伝統には感銘を覚えた。
途絶えることなく脈々と続く日本文化の素晴らしさを世界に知らしめたのではないだろうか。
何と華やかで、何と美しいことだろう。
煌びやかな衣装、凛とした立ち居振る舞い、悠揚と流れる雅楽の響き、まさに雅の世界で、日本人として誇らしく思うひと時であり、 私が生きている間には二度と観られないであろうとしっかりと瞼に焼き付けることができた。

皇室に対する批判もあって出席しない政党もあったようで、この政党はラグビーW杯での国歌斉唱も否定しているようだが、即位の礼を観てどのような想いに至っただろう。
この心打つ儀式に心が動かされないのだろうか。
日本人の誇りさえ捨ててしまったのだろうか。
こんな事ばかりしていて、国民の信頼を得られるのだろうか。

190ヶ国を超える国々の代表が参列し、同じ思想を持つ中国でさえ王国家副主席を派遣し、各国元首が出席するのは156ヶ国、 ロシアからも連邦副議長が参列する中で、参列をしないことに後ろめたさはないのだろうか。

この素晴らしい儀式にわずかな汚れができたことが残念でならない。


10月21日 ラグビー

ラグビー日本代表の活躍に感動した。

南ア戦には負けたが、それでも前半は2点差で大健闘。
ここまでやるとは正直思っても見なかった。
よくぞここまでと選手、指導者、ラグビー関係者、サポーターに心から敬意を表したい。
満員の会場、高視聴率、メディアもラグビー一色で日本中がラグビーに酔いしれた。
サッカーや野球に押されマイナーなスポーツとなっていたラグビーも、これで多くのファンを集めるスポーツになってくれるだろう。
見ていてこれほど力が入り、熱くさせてくれるスポーツはない。
ルールがよくわからないと思っていた人達も今回のワールドカップでラグビー通になった人も多いのでは。
ラグビーっていつもおしくらまんじゅうしているみたいでちっとも面白くないと言った友人がいたが、スクラムでの駆け引きや力のぶつかり合いに、 どうだ面白いだろうと言ってやりたい。

息子が小学校から大学院までラグビー部に入っていて大学選手権に出たり、私が高校の時にクラスメイト達が花園に出たりしていたこともあり、 すっかりラグビー好きになってしまった。
次の準決勝、決勝のチケットを息子が手に入れてくれたので、今度は残った4カ国全部を応援したい。
まだ興奮は続きそうだ。


10月20日 大学卒業50年

台北から帰国早々、大学卒業50年の記念式典が2019連合三田祭にて開催されるということで行ってきた。
待ち合わせた同級生とともに記念式場に行くと,すでに会場はいっぱいの同窓生で埋め尽くされている。
50年経つとクラスの仲間以外は顔を見てもほとんどわからず、人の顔を見て歳をとったことを実感する。
式典は来賓挨拶が続き、塾長がラグビーの日本対南アフリカ戦と時間が重なることを心配したが、幸い夜なので安心したが、 もし重なったら卒業生の母校への忠誠心を試されるところであったと言って会場の笑いを誘った。
その後応援団やチアリダーによる演舞が行われ、懇親会場へ移った。
日吉キャンパスの雰囲気は当時と少しも変わらず、ここで2年まで学んだことを懐かしく思い出した。



10月18日 一般公開

今日からフェアは一般公開で混雑が予想されたが、昨年に比べても少ない気がする。
昨日の私どものブースの混雑を考えると、作品が欲しいVIP の人達は内覧会でいち早く作品をキープしたいのだろう。

私は昼に山本麻友香の作品を展示したいと昨年から依頼をされているホテルで打ち合わせ。
他の作家の展示プランも提案しているが、やはり山本で進めたいとのことであった。
予算も限られているので、今回制作した版画を先ずは展示するプランを取締役会にかけたいとのことで、その作品を使ってロゴマークを作り、 お皿やカップ、コースターと言ったものに使いたいとの希望もあり、作品購入費とは別に著作権料や使用料も含めた見積もりを出すことになった。
最初のプランよりは縮小したが、先ずは一歩前に進むことができた。

有難いことは、ここのホテルにスタッフを含めて滞在中の宿泊を提供してくれたことで、 特に私の部屋はスィートルームで一人ではもったいないくらいの広さで、かえって落ち着かない。

夜はこれまた豪華版で、お客様に三つ星レストランで広東料理をご馳走になった。
このお店は電話でも予約できず、支配人とラインで繋がっている人だけが予約できるというから、滅多なことでは行くことができない。

明日早朝に私は一足早く帰国するが、日本では一汁一菜の貧しい食事が待っている。
この一ヶ月続いた激動の海外出張もひとまず終了。




10月17日 アート台北

昨夜はお客様の招待でこれでもかというほどの料理が出て、先月から続くご馳走に身体がおかしくなりそうだ。
スタッフは10時まで展示に追われ、まだ終わっていないので、明日も8時から準備をしなくてはいけない。

12時からスーパーVIPの内覧会なのだが、その前にどこから入ってきたのか、あっという間にブース内が埋まり、次から次へとお客様の対応に追われ、結局夜9時近くまで、 昼食も取れず、トイレにも行くこともままならないといった具合で、周りを見渡してもうちだけにお客様が集中していて、よその画廊も呆れて見つめていた。

中村萌、山本麻友香の作品は相変わらずの大人気で、一瞬にして完売となり、続いて岩淵も完売、森口、三木にも予約が入り、 あとは次の作品のウェーティング待ちの方達への応対に終始することになった。

終えて、今夜も夕食のご招待。
スタッフを含め身体が持つかどうか心配なくらい忙しい一日となった。

明日は一般公開となるので、今日以上の混雑が予想されるが、頑張るしかない。




10月16日 TTF終了

台北に来ている。
13日にTTFは大盛況のうちに終了した。
続いてアート台北が明日から開催され、今日はその展示日で、私もたいして役に立たないが、アートフェア会場に向かう。

年々盛んになるTTFには80数社が参加し、狭い会場に4日間に4万人を超える来場者があり、すべての人が買う気で来ていることもあり、その混乱ぶりは想像を超えるもので、 私のところも人気の中村萌の作品を求めて外まで行列が出来た。
その熱狂ぶりは怖いくらいで、ありがたいことだが、慌てず騒がずで、そうした人気に惑わされず、足元を見つめながら作家とともに進んでいきたい。


10月15日 ラグビーW杯

台風19号は日本各地に甚大な被害をもたらしたが、幸いなことに心配した画廊の地下倉庫への浸水はなく、今日は運び出した作品の片付けに追われている。
思わぬ三連休となり、家でラグビー、巨人戦などを見て過ごすことに。
13日は先ずは我が巨人軍が阪神に勝ち、日本シリーズ進出を決め、夜のワールド杯ラグビーの日本対スコットランド戦は日本が勝利し、はじめての8強に勝ち進み、 テレビの前にかじりついていた我が家は狂喜乱舞をした。
特に息子が小学校から大学院までラグビーをやっていて、今は大学のラグビー部の監督をしていることもあり、 今回の日本でラグビーW杯が観れるとあって楽しみにしていたが、まさかまさかの4連勝には驚くとともに、観ていてハラハラドキドキで力が入り、運動もしないのに筋肉痛である。
また、息子の大学のラグビー部の後輩である福岡選手が活躍したこともこの上ない喜びであった。
更に巨人軍が日本シリーズで勝利し、ラグビーW杯で決勝まで勝ち上がるようなことになれば、それこそ至上の喜び、欣喜雀躍言うことなしなのだが。

しばらくは仕事が手につかなくなりそうだ。



10月12日 台風

大型の台風が関東を直撃ということで画廊は休廊に。

風速60メートル、一晩で500ミリの記録的な大雨ということで、今まで経験したことない台風のようだ。
スーパーでは水や生鮮食品がなくなり、レジには長い行列ができている。

息子から朝に電話があり、画廊の地下の倉庫は大丈夫かと言ってきた。

大丈夫じゃないかと言ったが、ニュースで銀座が水没するシュミレーション画像が出て心配になり、家内と息子と一緒に車で画廊に向かうことに。

スタッフは交通機関がストップしてこれないので、私たちだけで地下の三つの倉庫にある作品を上の画廊に上げたり、台座や机の上に作品を乗せたりと汗だくで何とか終えることができた。

地下は車庫になっているので、入り口からスロープになっていて、道路に水が溢れたらひとたまりもない。

土砂降りの中を帰ろうとしたら大家さんの息子さん夫妻がやってきて、区役所で土嚢をもらってきたので、車庫のシャッターの前に積んでくれるという。
これで一安心。

もっと早く来てくれたらと思ったが、用心に越したことはない。

後は台風が通り過ぎ、大きな被害が出ないことを祈るばかりである。

10月11日A 小林健二展

小林健二展が明日最終日を迎える。

今回は会期中ソウル、上海と展覧会が続き、スタッフの病気などで私がずっと詰めることになり、小林健二展にはほとんど携わることができなかった。

私どもの2会場を使い、「透質層と透明体」、かたや「XEDIA」と二つの展示がなされた。

「透質層」と透明体では水族館で使うような分厚いアクリルを使ったタイトル通りの透き通るような美しい作品が並ぶ。

「XEDIA」では作家自身のフィクションなのだが、現実にあるかのような錯覚を覚える地層からの出土品と見紛う作品が所狭しと飾られている。

小林健二のエネルギーを絞り出したかのような多数の作品はますます磨きがかかっているように感じた。

明日が最終日なのだが、大型の台風の関東上陸が予想され、交通機関も運航を取りやめるとのことで、やむなく休廊とさせていただく。

その代わりと言ってはなんだが、会期を一週間延ばし19日(土)までの開催とさせていただくので、明日来廊予定の方、まだご覧になっていない方は是非お越しいただきたい。

ただ、私は台北のフェアーがあり、週末まで出てしまうのをお許しいただきたい。

小林健二展の印象記を紋谷幹夫氏が寄せてくれているので紹介をさせていただく。

展覧会タイトルは、ー透質層と透明体ー。
人の心と寄り添うように透明体は空中でワクワクしていて
地中の奥では仮晶鉱がヒソヒソこの世を暮らしている。

ミニマルな形の器や装置、あるいは塊が、
平面に描かれ、ある場、時間が発生しますが、
把握し得るのはそこまでで、
観る側は「さて・・・」といった感じで
画面の前に立つことになります。

色彩は抑えられていますが、
そのてらてらする質感により、
付けられた色というより、
物質そのものになっています。
平面に実態が押し込まれている感じです。
不可解なものを感じながら、
妙な生々しさがあるのはそのためでしょうか。

なまじ形に意味を介在させずに見てみると、
自分の内部の何かと交信する。
そんな印象でした。

展覧会タイトルは、ーXEDIA(キセディア)ー。
作家は作(る専門)家なので、
何かを創り出せばいいので、
それが実体としての作品でも構わないし、
世界観でも構いません。

ここで展示されているのは
作家が(勝手に)創り出した世界(遺跡)
で発掘された出土品です。
製作年代不明、用途不明の人工物は、
二つ一組で
標本ラベルが貼られた標本箱に入っています。

一つ一つ見ていくと、
道具の様であり、装飾品のようでもあり、
明らかに特定の用途を満たす目的でつくられたようで、
でも、全く意味不明で、
その微妙な落としどころの造形センスに感心します。

「神は細部に宿る。」は、
ドイツの美術史家アビ・ヴァールブックの言葉ですが、
世界は細部に宿り、細部は世界を暗示する。
そんな印象でした。

10月11日 手塚治虫

ロータリークラブでは毎週各界の著名な方を招き、30分のミニ講演をしていただいている。
先日は私の紹介で映画監督の手塚眞氏に父親である手塚治虫にまつわる話をしていただいた。

手塚氏は私の高校の後輩であると同時に、 ヴェネチア映画祭や多くの国際映画祭で受賞した手塚監督の映画「白痴」の 美術を担当したのが私どもで長年発表をしている恒松正敏だったということもあり、その後親しくさせていただいている。

手塚治虫は60歳で亡くなるまでに15万枚の原稿、700もの作品、1000を超えるストーリーやキャラクターを生み出し、 子供相手の単純な漫画の時代に人間同士の葛藤や自然との調和といった大きなテーマや、悲劇などの文学性、 そして映画を見るように効果的な絵やコマ割りを駆使して、マンガに革命をもたらした大天才であったかということと、 手塚が残した作品をはじめ漫画やアニメ、映画、小説といったコンテンツビジネスは海外の大きな市場で莫大な利益をもたらすものだが、 アジアでは国が後押しして世界にアピールをしているのと違って、日本ではその後押しがなく、才能が枯渇していく危惧を抱いているといった話をしていただいた。

10月10日 TTF開幕

セッテイングも終わり今日からTTFが始まる。
写真がスタッフから送られてきたが、物凄い数の人が押しかけてきているようだ。
ちょうど2年前のTTFの開場前の写真がFBにアップされていたが、その時も送られてきた写真を見てびっくりしたが、 今年は更に人が多いようで、事故なく無事に終わることを祈るばかりである。

今回でTTFは16回を迎えるそうだが、主催者の黄社長は日本の留学時代にオタク文化に触れ、 帰国後フィギュアのお店をオープンし、その後台湾で初めてのフィギュアによる小さなアートフェア を企画したのが始まりで、それが今やファインアートのフェアを凌ぐ勢いで、香港でも開催されるようになるとこれも台湾同様に大反響を呼んだ。

私との縁は、10年前になるだろうか、台北アートフェアで中村萌を黄社長が買ってくれたのが始まりで、 6年前に中村のフィギュアを作ったらどうかと打診され、それをもってTTFに参加しないかということから今に繋がるのである。

最初にフィギュアを発表した時は25000円だっただろうか、少しは売れるとは思っていたが、まだ半信半疑であまり結果は期待をしないでいた。

ところがである、スタッフから連絡があり、中村萌のフィギュアは大人気で、全て完売し、他に持っていったオリジナル作品も全部売れたとの報告を受けた。

それからである、アジアでの人気に火がつき、多くの著名なコレクターが押し寄せ、今や押しも押されぬアジアのスターとなったのである。

そして来年春にはロンドンでの発表の機会も得て、アジアから更に欧米へ飛躍の年になることは間違いなさそうだ。

ただ心配なのは一時の人気に惑わされ、足元を見失うことで、私も作家も長いスパンで先を見据えてやっていかなくてはいけない。

中村もその辺はよくわかっていて、一歩一歩前に進むことを目指している。
どういう作家に育っていくか今後が楽しみである。



10月8日 台北トイショー

10月10日から13日まで台北トイショーが開催される。
毎年招待参加をしていて、中村萌の新作フィギュアをここで発表することになっている。

このショーは各ブースで人気のフィギュアが見られるとあって、ものすごい数の人が押しかける。
それはアートフェアの比ではなく、私も昨年初めて行ったが、会場内にいると酸欠状態で目眩がしそうになるくらい人で溢れかえっている。

そんわけで私は今回は行かないが、スタッフと中村萌が今日から台北に向けて出発する。

中村萌のフィギュアの人気は個展でもそうであったが、私どものウェーティングリストだけでも200人を超えるファンがいて、 その上にトイショーに訪れる人がどのくらい来るのか想像もつかない。

トイショーではまず優先入場というのがあって、一般入場料より高いのだが、ネットで受け付けたところ、一瞬で売り切れとなった。
その入場券を手にして、私どものブースに来て、まずは先着150名がポストカードを買うとリストバンドが渡され、 その方達のみが当日の割り当ての20体の抽選に参加する権利を得られることになっている。

これを3日に分けて行われる。 今回は160限定となっているので、私どもにも割り当て分があるのだが、 それも少数のみと数が限られているので、ウェーティングリストより私どもの他の作家を多くコレクションしていただいている方、 以前より中村萌をコレクションしている方を選び、その方達約100名で抽選をしてお求めをいただくことにした。
発表は作品受け渡しを持ってかえさせていただくことにした。

苦渋の方法だが、ご理解をいただければ幸いである。

こんな訳で大変ありがたい話なのだが、申し込まれる方の中に転売目的の方も多く、それを見分けることが難しく、 こうした方法を私のところでとらせていただいている。
トイショーでは私のところのようなやり方はできないので、転売ブローカーに渡る可能性もあるが、3年間は転売しない契約書を作り、 そこに署名をしていただき、転売を防ぐことにしているが、さてどうなることやら。

混乱なく終わることを願うばかりである。

10月5日 岩渕華林展オープン

いよいよ岩渕展の開幕。
3時から大勢のお客様が訪れ、画廊の黄社長、私、岩渕の順にお客様に挨拶。
私は若い無名の作家の展覧会を中国でかくも盛大に開催してくれたことへの感謝の気持ちを伝え、岩渕の作品が中国伝来文化の一つである墨を使うこと、 中国の四大発明の一つである印刷機に由来する版画を使っていることに今回の展覧会の意義があるのではと述べ、 こうした機会を得たことで更に日本と中国の文化交流が深まることを期待したいといった話をさせていただいた。

木々の緑や色とりどりの草花に囲まれた画廊のガーデンテラスに立っての挨拶、横ではギターとヴァイオリンによるヒーリングミュージックが流れるといった演出がなされ、 こんな画廊が持てたらどんなにいいだろうかとつくづく羨ましく思った。

画廊の中では、岩渕と清華大学の若きMo教授による作品の解説、夕方からはゲストルームでMo教授のインタビューによる岩渕と私のセミナーが開かれ、 女性像を描く意図、日本と中国社会での女性の立ち位置の違い、日本の萌文化などについての質問を受けた。

セミナーを聞いた何人ものお客様から岩渕作品への感想が述べられ、中でも年配の著名な舞踏家が彼女の作品を見て、従来の中国絵画にはない新しさを目にして、 自分の心が覚醒したと言ってくれたことは岩渕にとっては何よりの賛美であり、私も瞼が熱くなった。

終えて庭ではバーベキューパーティー、最後まで華やかで中身の濃いオープニングには、私も大いに感動し、勉強もさせられた。

夜は今回もお世話になったお役人の沈史、陳女史、この方達との仲立ちと通訳も務めてくださった在日の野口氏、パートナーの山岡氏、 今回の日程の段取りをしてくださった野口氏のお兄様と火鍋を囲んで、来年開催予定の私ども作家30名による展覧会の打ち合わせをし、 それぞれがこうした出会いに感謝の言葉を述べ合い、宴を終えた。

それにしても中国の方の手厚いもてなしはとても私たちには真似ができないことで、皆さんが日本に来た時どうお返ししたらいいか今から頭が痛い。

明日はゆっくりして夕方の帰京の予定である。



10月4日

上海も東京同様に暑い。
幸い台風は免れたが、韓国の釜山では大きな被害が出たようだ。
9月から新たに入ったスタッフが釜山出身なので心配である。

今日も迎えの車が来て個展会場へ。
すでに持ってきた作品も飾られていて、アレンジメントされた花が飾られ、心に響く音楽が流れ、更には画廊内に設置された装置からは水が流れ落ち、その水の音に心が癒される。
これだけ一画廊の会場が演出されるのは見たことも聞いたこともない。

北京からやってきた清華大学の若い女性教授が明日の岩渕とのセミナーに備えて、多くの質問事項を準備していて、その打ち合わせが昼過ぎまで続けられる。
セミナーの他にテープカット、テレビや新聞などメディアとの会見、バンドも来るそうで音楽演奏、夜は画廊の前の庭でバーベキューパーティーと盛りだくさんの1日となりそうだ。

昼食はホテル近くのレストランでスペイン料理。
部屋がベラスケス、ゴヤ、ピカソ、ダリなどスペインゆかりの作家の名前がついた個室となっていて、その作家たちの複製画が飾られて、それぞれが凝った内装となっている。
驚いたのは、我々が招かれたベラスケスの部屋には、ゴルフの打ちっ放しができる部屋までが併設されているではないか。
昨日の礼拝場を利用したレストランもそうだったが、いずれも美味しい料理とゴージャスなインテリアを満喫させてもらった。

更に夕食に招かれたレストランは100年前に香港の鉄鋼王が建てた邸宅で、上海の旧市街にある。
鉄鋼王が好んだという中国全土の料理がメニューに並び、数え切れないくらいの料理が並ぶ。

韓国から続く豪華料理のオンパレードには多少食傷気味で、ぼちぼちお茶漬けが食べたくなってくる。
前回もそうだったが、乾杯一気飲みにも下戸の私にはただただ驚くばかりである。
北京から来た年配の女性は、10数回立ったまま同席の人達と順番に一気飲みを繰り返すのには驚くというよりは怖くなってきた。

明日はいよいよ岩渕展のオープニングだが、ここでもはなやかな宴席が繰り広げられるのだろうか。
全く飲めない身体に感謝しなくてはいけない。



10月3日 上海到着

昼前に上海に到着。
先日中国のお役人を紹介してくださった在日のN氏と若手経営者でN氏のパートナーのY氏が同行してくれることに。
空港にはそのお役人のS氏が前回同様に車を用意して待っていてくれる。
今回も皆さんにおんぶにだっこでお世話になりそうだ。

空港から岩渕華林の個展を開催する画廊に直行。
画廊の入り口には大きな岩渕展の垂れ幕が飾られている。

中に入るとこの画廊の独特の空間であるほぼ真っ暗に照明を落とした黒い壁面に、作品だけにスポットライトがあてられている展示は、岩渕の作品をより美しく浮かび上がらせている。

さらに送った資料から作成されたプロモーションビデオが上映されている。
プロの手によるのだろうが実に見事に岩渕の制作風景とクローズアップされた作品が壁面に映し出される。
入り口では画廊のマダムがフラワーアレンジメントで花をいけていて、素晴らしい空間に花を添える。

展示空間の演出によって、作品が一層引き立てられていて、私も展示の大切さを今更ながら教えられた。
昼も画廊のオーナーにご馳走になったのだが、夜はまたお役人による夕食のご招待。
上海市の西南にある古い礼拝場をそのまま使ったレストランで今が旬の上海蟹をメーンにこれでもかという料理をご馳走になった。
毎度のことだが、韓国から続く皆さんのもてなしには頭が下がる。

明日は岩渕に若手評論家が初日のシンポジウムのために多くの質問を用意していて、朝からその打ち合わせに行かなくてはいけない。

今回は多少のんびりできると思っていたが、どうやらそうも行かないようだ


10月2日 上海

10月に入ったというのに今日も30度。
日曜日に韓国から帰って来たばかりだが、昨日今日の暑い日差しにめまいがしそうだ。

帰って早々だが、明日早朝には上海に向かわなくてはいけない。
言葉もお金の単位も変わることになるので、頭の切り替えが大変である。

上海は4日から始まる岩渕華林の個展のオープニングとそのための追加作品と新作を持って出かけることになる。
前回は通関でのトラブルが嫌で、南京のお役人を紹介してもらい、南京経由で上海に向かったのでスムーズに入国ができたが、今回は時間がかかることもあって、上海に直接行くことにした。

中国ではアーティスト自身が作品を持っていくことは問題がないようだが、アーティスト以外が持っていくと検査に時間がかかり、下手をすると展覧会の会期に間に合わないことがある。

岩渕自身も行くことになっていて、前回お役人を紹介してくれた在日の中国の方も同行してくれるので、たぶん大丈夫だと思うが、それでもヒヤヒヤドキドキである。

韓国もそうだったが、こうした時期に日本人作家を中国で紹介してくれるのは大変ありがたいことで、それに応えるためにもハードなスケジュールの中を社長の私が行かなくてはならない。

いいお客様を持っているようで、展覧会は成功すると思うが、こればかりは蓋を開けて見ないとわからない。

韓国のように期待以上の成果が出るといいのだが。


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